電子帳簿保存法のファイル名のルール — 付け方の例とよくある間違い
2026-09-14 更新。国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和 8 年 7 月)をもとにしています。文中の「問」はこの一問一答の番号です。
要点
- メールや Web で受け取った請求書・領収書などのデータは、データのまま保存します。紙に印刷して保存するだけでは足りません(問 30)。
- 専用のソフトがなくても、ファイル名に「取引年月日」「取引金額」「取引先」を統一した順序で入れておけば、検索の要件を満たすと国税庁は説明しています。あわせて、税務職員からデータのダウンロードを求められたときに応じられるようにしておきます(問 50)。
- 例: 2024 年 1 月 31 日付の株式会社霞商店からの 110,000 円の請求書なら
20240131_(株)霞商店_110000.pdf - ファイル名だけでは要件はそろいません。改ざんを防ぐ措置(事務処理規程を定めて守る方法など)も別に必要です(問 19、問 30)。
電子取引データの保存に必要なこと
電子取引データを保存するときは、次のことが求められます(問 18)。ファイル名のルールが関わるのは 3 つ目です。
- 改ざんを防ぐ措置をとる。タイムスタンプ、訂正・削除の履歴が残る(または訂正・削除ができない)システム、訂正・削除の防止に関する事務処理規程のいずれか。事務処理規程のひな形は国税庁が公開しています(参考資料(各種規程等のサンプル))。
- ディスプレイやプリンタなどを備え付け、画面や紙にすぐ出せるようにする。
- 「取引年月日その他の日付」「取引金額」「取引先」で検索できるようにする。
- 自社で開発したプログラムを使う場合は、そのシステムの概要を書いた書類を備え付ける。
検索の要件の中身
国税庁は、検索機能として次の 3 点を挙げています(問 48)。
- 取引年月日その他の日付、取引金額、取引先を検索の条件にできる
- 日付と金額は、範囲を指定して検索できる
- 2 つ以上の項目を組み合わせて検索できる
税務職員のダウンロードの求め(データの提示・提出の要求)に応じられるようにしておけば、2 と 3 は不要です。そのうえで次のどちらかに当てはまる場合は、1〜3 のすべてが不要になります(問 48、問 51、問 52)。
- 基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)の売上高が 5,000 万円以下
- データを印刷した書面を、日付と取引先ごとに整理して提示・提出できるようにしている
検索の要件が不要な場合でも、ファイル名をそろえておくと、自分で書類を探すときや税理士に渡すときの手間が減ります。
ファイル名の付け方の例
国税庁の資料には、次のような付け方が載っています。どれも日付・取引先・金額の 3 つを入れ、順序をそろえています。
| 付け方 | 例 | 出典 |
|---|---|---|
| 日付_取引先_金額 | 20210131_(株)霞商店_110000 |
問 19、問 50 |
| 日付_金額_取引先 | 20240331_110000_(株)霞商店.pdf |
リーフレット「電子取引データの保存方法をご確認ください」(令和 5 年 7 月) |
| 取引先ごとのフォルダに分け、ファイル名は日付_金額 | (株)霞商店/20240331_110000.pdf |
問 50(取引先ごとにフォルダを分ける方法) |
書類の種類(請求書・領収書など)や請求書番号を足すと、ひと目で中身が分かります。その場合も、3 つの項目の位置はすべてのファイルで同じにしておきます。
先に決めておくこと
| 項目 | 国税庁の説明と決め方 |
|---|---|
| 西暦か和暦か | どちらでもよいが、混在すると抽出の妨げになるので統一する(問 50)。 |
| どの日付を使うか | 基本は取引が行われた日。1 か月分の取引がまとめて記録された書類は、発行日または受領日と合計金額を使ってもよいが、課税期間の中で一貫させる(問 55)。 |
| 税込か税抜か | 帳簿の経理方法(税抜経理・税込経理)に合わせるのが基本だが、書類に書かれた金額でもよい(問 57)。 |
| 金額が書かれていない書類 | 単価契約の契約書などは、金額を 0 円か空欄にしてよい。空欄にするなら、空欄のものを検索できるようにしておく(問 58)。 |
| 見積金額が複数ある見積書 | どの金額を使うかを社内で決め、課税期間の途中で変えない(問 56)。 |
| 取引先の書き方 | 「株式会社」をそのまま書くか「(株)」にするか。国税庁の例は「(株)」です。書き方がばらばらだと検索で漏れるので、1 つに決める。 |
よくある間違い
- 日付の書き方がファイルごとに違う。
2024-1-5、20240105、R6.1.5が混ざっていると、名前順に並べても日付順になりません。桁数をそろえたYYYYMMDDにすると、名前順がそのまま日付順になります。 - 項目の順序が途中で変わる。 国税庁は「統一した順序で入力」することを示しています(問 50)。担当者が複数いるときは、ルールを書き出して共有します。
- 金額にカンマや「円」を付けたり付けなかったりする。
110,000と110000は別の文字列なので、片方で検索するともう片方が見つかりません。国税庁の例は数字だけです。 - 取引先の表記がそろっていない。 「株式会社霞商店」「(株)霞商店」「カスミ商店」が混ざると、1 回の検索で全部を拾えません。
- 複数の請求書が入った 1 つの PDF に、そのまま名前を付ける。 取引ごとに PDF を分けて、それぞれに名前を付ける方法が示されています。分けるときは中身を変えずに分割します(問 54)。
- ファイル名だけ付けて、改ざんを防ぐ措置をとっていない。 事務処理規程を定めて、その規程どおりに運用する方法などが必要です(問 19)。
- 保存場所がばらばら。 保存先を複数に分けること自体は認められていますが、理由なく散らばっていて速やかに出せない状態は認められません(問 32)。
- 送った請求書を保存していない。 受け取ったデータだけでなく、送ったデータも保存の対象です(リーフレット「電子取引データの保存方法をご確認ください」)。
- ファイル名に使えない文字を入れる。 Windows では
\ / : * ? " < > |をファイル名に使えません。取引先名にこれらの文字が含まれるときは、別の文字に置き換えます。
保存期間
電子取引データの保存期間は、紙の書類と同じく、所得税法や法人税法などで決まっています(問 17)。
- 法人: 7 年(青色申告書を提出した事業年度で欠損金額が生じた場合などは 10 年)
- 個人事業者(青色申告): 領収書などの現金預金取引等関係書類は 7 年(前々年分の事業所得と不動産所得の金額が 300 万円以下なら 5 年)。請求書・見積書・契約書などそのほかの書類は 5 年
- 個人事業者(白色申告): 請求書・領収書などの書類は 5 年
- 消費税の課税事業者が仕入税額控除のために保存する請求書などは、上にかかわらず 7 年
いつから数えるかは、問 17 の表で確認してください。
電帳リネームでファイル名をそろえる
電帳リネームは、PDF をドロップすると中の文字から日付・金額・取引先を読み取り、決めたルールでファイル名を一括で付けて ZIP で返すツールです。並び順、日付の形式、「株式会社」を「(株)」にするかどうかは画面で選べます。ファイルはブラウザの中だけで処理し、サーバーには送りません。